
各メディア担当のプレスや、ブランドの根幹であるデザイン部署……こうしたセクションを真っ先に想像される方が多いのが、アパレル業界でのブランド本社組織です。
確かにそれは正しく、こうしたセクションがそれぞれ英知を結集しながら、世の中の流行を作っています。
ただし、こうしたセクションが、ブランドや大手セレクトショップの本社業務のすべてではありません。
意外に知られていない部分ではあるのですが、各ブランドや大手セレクトショップの本社スタッフの重要業務というのが、商品管理なのです。
これはどういう仕事を指すのでしょうか?
例にあげてみると、自社ショップを多数展開しているブランドの場合、それぞれが担当するショップの全体在庫数をすべて把握し、これを日々管理しなければなりません。
特に、ブランドのショップ展開が全国規模であるほど、この業務はブランドの命綱とも呼ばれ、強化すべき部分。
同時に、採用が定期的に行われるセクションのひとつ。
つまり、それほどまでにブランドにとって、命運を握るほどの重要な位置づけであるからなのです。
なにより重要! 各ショップの売上と在庫の推移を常に把握する必要性
具体的にお話していきましょう。
なぜ、全国展開規模であればあるほど、各ショップの商品管理が重要な位置づけになるのか?
これにはまず、各都市によっての嗜好の違いがあげられます。
例えば、東京で爆発的な売上を誇る商品が、大阪で同様というのは必ずしも当てはまりません。
特にこの二大都市は真逆のファッションセンスであるともよく語られているため、ブランド側としてはそういった嗜好を加味しながら、売上と在庫の推移を常に把握する必要があります。
また、東京の中でも、A地区の各店舗では売上が良い商品が、B地区の各店舗ではそれほどでもなく、むしろ違った商品の売上が良く在庫が無くなるスピードが早いなど……。
趣味趣向が細分化されている昨今、なおさらこういった傾向が強く見受けられるのです。
よって、各ショップごとの売れ筋、在庫状況を常にチェックしながら、ショップ間での在庫の移動を指示しつつバランスを取っているのです。
この商品は東京では売れ行きが良くて大阪ではあまり良くないから、大阪の在庫はすべて東京へ、といった具合に。
こうすることで、必要なショップに必要な在庫がない! といったことが防げるため、ブランド全体的な売上、ひいては活性化に繋がります。
現場の最前線のショップ、本社の最前線のプレスやデザイナーと連携する重要業務
各ショップ単体では、そこまで全体像が把握できないからこその、本社が担っているたいせつな業務。
顧客と密に接しながら、日々を取り仕切る現場の最前線であるショップの動向をよく把握しているため、プレスやデザイナーとの連携も頻繁に行われています。
本社組織のなによりの重要セクション。
すべての命運を握る地道でたいせつな仕事なのです。